私たち、日本労働評議会(略称:労評)名古屋クレストンホテル分会は、HMI(ホテルマネジメントインターナショナル)ホテルグループのひとつである、名古屋クレストンホテル(名古屋市)の従業員で結成した労働組合です。
今年1月、HMI本社の専務から突然、今年7月31日で名古屋クレストンホテルを閉館すると言われました。閉館の理由もまともに聞かされず、会社は、「雇用は守る」と言いながら、実際にやっているのは一方的な解雇です。納得もいかないまま、会社に使い捨てられてはならないと、労働者の働く権利、人として生きる権利を守るために起ちあがりました。本日6月18日、組合を結成し、会社に通知しました。
名古屋クレストンホテルについて
名古屋クレストンホテルは、1989年にオープンした、名古屋市中区に位置する「名古屋パルコ」のテナントであり、24の客室とラウンジバー、チャペルなどがあります。立地の良さから、名古屋への観光など多くのお客様にご利用していただいていますが…、実は、従業員は20名で常に人手不足でした。過重労働のなか、お客様に心地よく利用していただけるよう、20名でなんとか工夫してやってきました。
いきなり伝えられた閉館・・・
今年1月、東京にあるHMI本社から専務が来名し、名古屋クレストンホテルを7月31日で閉館すると従業員に伝えました。閉館については、現在、「大感謝祭」と表した宿泊プランなどを提供しているので、すでに知っている方も多いと思います。
閉館にあたり、HMI本社が私たちに伝えてきたのは以下の内容です。
7月31日閉館に伴い、7月31日まで働いた人には、①有給の買い上げ、②夏のボーナス支給(6月30日締め)、③退職は会社都合扱いとする。しかし、7月31日以前に退職した人には、自己都合退職とし、有給買い上げも一時金支給もしない。
さらに、「解雇ではない」「雇用は守る」と言いながら、再就職先として会社が用意しているのは、京都や浜松など遠方しかなく、最も近い刈谷のホテルは、今働いている職種とは全く違う仕事しかありません。今、ほとんどの従業員は、退職を選択せざるを得ない状況に置かれています。
そもそも名古屋クレストンホテルを閉館する理由については、HMIは、名古屋パルコにテナント契約を打ち切られたからという説明しかしていません。名古屋クレストンホテルは年間売上4億を超え、他の系列ホテルのなかでもトップクラスの予算達成率です。いつもご利用いただいているお客様からは「閉館しないで継続してほしい」という声が多くあり、経営的に赤字、あるいは赤字におちいるような状況では決してありません。
わたしたちは、名古屋クレストンホテルと、従業員の労働と生活を守るため、ホテルの営業継続、従業員の雇用継続を会社に求めます。
ホテル・旅館で働く労働者はお客様のために働いています。会社のための使い捨ての道具ではありません。
HMIホテルグループの、一方的なホテル閉鎖、従業員の解雇は今回が初めてではありません。2020年にも多くのホテルで一方的な不当解雇を行っています。このときも、コロナ禍ではありましたが、決して、経営が苦しくてどうしようもなく、ホテルを手放したのではありません。会社が儲けるための首切りでした。労評は、2020年、石川県にあったHMI系列の旅館の閉鎖と不当解雇に対して、1人の従業員の起ちあがりから出発して労働組合をつくり、HMIと交渉した経験があります。
現場でお客様に触れ、お客様のために細心の注意を払って働いている労働者の苦労も知らないで、お客様の日々の労働の癒しや、旅の良き思い出となるよう精一杯つくす、わたしたちの労働の誇りを踏みにじる…さらにはその生活までおびやかす、HMIのやり方を変えさせたい。そして、ホテル・旅館のサービス業に従事する全国の労働者が、自分たちの労働の誇りを取りもどせるようにしたい。そんな思いをもって、わたしたちは起ちあがりました。
名古屋クレストンホテルをご利用してくださった方、そうでない方にも、ご支持、ご協力を心から呼びかけます。応援のほどよろしくお願いします。