会社は、今春闘において、賃金体系の改定案を提出してきました。
昨年、労評は残業代ゼロの賃金規則である能率手当の計算方法について改め、1ヶ月間に40時間を越える残業代は差し引かないよう要求しました。
しかし、今回の会社の賃金体系の改定案は、賃金対象額から残業代(時間外手当A)を控除することを残したままです。
会社の賃金体系改定案の要旨は、以下の通りです。
(1)固定給部分と歩合給部分の比率を変更する。
本給などの固定給部分と歩合給部分の比率を、平均で固定給部分6割、歩合給部分を4割とする。ちなみに、現在は、55対45の割合。
(2)固定給部分について
①基準内賃金(固定給部分)の本給は、勤続年数によって加算し、支給する。
初年度は、130,000円とし、
勤続10年までは、1年につき、1,200円アップ
勤続11年目からは、1年につき、500円アップ
②基準内賃金(固定給部分)の職務給は、
夜間ホーム作業 20,000円
路線職 15,000円
集配職 15,000円
整備職 26,000円
上記、①は定期昇給であるが、②の職務給にベースアップ部分が加算され、各人のバースアップは、各人の査定ランクに基づき、査定係数を乗じて算定する。
要するに春闘時の賃上げについては、本給は定期昇給として勤続年数に応じて昇給し、ベースアップは②の職務給部分の賃上げとなる。
その他、諸手当の変更、新設があるが、追って組合ニュースで明らかにしていきます。
(3)歩合給について
賃金対象額は、集荷及び配達重量が若干増えた以外、集荷・配達枚数や件数、距離等において金額が下がっている。
以上のように、会社の今回の賃金体系改定案は、固定給部分が上がり(ちなみに、配偶者手当が無くなり、扶養手当となり、共稼ぎ家庭の労働者の多くは、家族手当は下がる)、賃金対象額が下がることになります。
未払い賃金の請求権は、裁判を起こさなければ、2年間で失われます。
同じような賃金未払いを争っているの事件で、国際自動車の最高裁で口頭弁論が開かれることが決まりました。
ということは、労働者側の勝訴する可能性が強いということです。
国際自動車の裁判で、労働者側が勝訴すれば、大阪高裁のトールの裁判は、100%勝訴します。
労評は、トール裁判の大阪高裁判決後にはすぐに労評東京都本部主催、また関西地区、東海地区等で裁判説明会、相談会を開催する予定です。
判決結果を聞きたい人、自分も裁判に参加したい人はぜひ参加して下さい。
また、トール以外の運輸関係労働者の方からの相談も受け付けます。電話相談も受け付けます。
残業代の不払いは交通運輸業界全体に蔓延しています。
その結果、どの会社でもトラック労働者の労働力不足が深刻化しています。
トールでも会社とトール労組は労働協約を結び、賃金対象額からそっくり残業代分の分を差し引き、その上で残業代を支払えばよいという賃金体系を作り上げました。
能率手当=賃金対象額-時間外手当A(残業代)
これに時間外手当Aを支払っても残るのは、賃金対象額のみとなり、残業代は支払われていません。
トール残業代裁判は、労評交運労トール労働組合広島分会によって取り組まれています。
この裁判闘争は、交通運輸業界全体に蔓延している残業代不払いという悪弊を正すための闘いです。
以下は、大阪高裁に残業代を支払っていないことを実証するために提出した資料です。
控訴人は、労評の組合員のことで、被控訴人は会社のことです。
2014年10月、一ヶ月に82時間も残業を行って約25万6千円の支給総額でした。
裁判を起こそうと決意するきっかけとなった当時の賃金です。
一番上の棒グラフが、労働基準法に基づく支払いでは約34万円になりますが、実際支払われている賃金は残業代84,770円を賃金対象額から差し引かれ、25万6千円です。
つまり、割増賃金である残業代84,770円が支払われていません。
裁判は、この残業代不払いを過去2年間にさかのぼって支払えという裁判ですが、集配労働者の待遇を改善する裁判でもあります。
集配職労働者は、土曜日以外、毎日毎日残業をさせられています。
その残業に対し、会社は裁判で、
「残業をする労働者は労働効率が悪いから、だから残業代を差し引くのは正当だ、これは多数派組合であるトール労組と合意した労働契約だ」
と、主張しています。
こんな主張を裁判であつかましく主張するならば、社長、支社長、支店長、そしてトール労組の幹部は、集配業務を残業をせずに終らせることをわれわれに示してみたまえ!
残業代ゼロの賃金制度の廃止を求める裁判闘争は、日本で働く全労働者の権益を守る闘いです。
会社と御用組合の結託によって、残業代ゼロの賃金制度が作られました。
大阪高裁で勝訴判決が出たら、御用組合をやめて労評に加盟し、残業代を取り返そう!
東京都労働委員会で第2回調査期日が開催される
去る11月11日、第2回目の調査期日が行われました。
日本郵便は最高裁での判決を盾に、雇用関係のない労働者に団交に応ずる義務はないというばかりで、都労委には日本郵便の役職者も出てこず、弁護士に任せています。
普通の企業ではありえない、どこまで行っても傲慢不遜な官製資本の態度です。
しかし、最高裁の判決は雇止めは正当と言っているだけで、組合員が働いていた時代の雇用関係については問題がたくさんありますが、何一つ解明されていません。
私たちは、組合が過去の労働条件に関わる問題について、団交で申入れる権利はあり、団交を拒否することは不当労働行為であることは疑いないと考えています。
非正規労働者に定年制を設けることは重大な労働条件の変更ですし、不利益変更にあたることは明らかです。
この不利益変更をする過程で、組合員が働いていた佐野郵便局をはじめ、関東の郵便局では就業規則に書かれてあることは、65歳定年制をきちんと書き表せれておらず、関西で記されていた就業規則とは違います。
こんな杜撰なことをしていて、事前に周知していたと言えるわけがありません。
このような事実は最高裁でも究明されておらず、「(たぶん)周知されていた」と推測で判断されているのです。
私たちが過去の日本郵便の不当な行為を独自に団体交渉で追及する権利があるのは明らかです。
また、人手不足をどう考えるのかという点も、日本郵便は第1回目の団体交渉で「離島などは人手不足だが、それ以外は恒常的に人手不足はない」と嘘をつきました。
私たちが確かめた範囲でも、人手不足で65歳以上の労働者を働かせている郵便局はたくさんあります。
実態は明らかであるにも関わらず、公然と嘘を述べています。
非正規65歳定年制がいかに現実離れしたものなのか明らかなのに、日本郵便はまともに説明しようとしません。
組合の団交開催の根拠を明らかにしましたので、次回は日本郵便の反論になります。次回は来年の1月16日(木)10時30分です。
郵便局で働く皆さん。
私たち実現する会は、日本郵政の政策転換をさせるために、団体交渉を開催させたいと願っています。
本来は日本郵便で働く労働者が労評に加盟してくれれば、日本郵便は団交を拒否できません。
皆さん、ぜひ労評に加盟し、この非正規65歳定年制の撤廃をはじめ、企業体質を変えていく活動を進めましょう。
先日もとある郵便局で働く非正規労働者の方から電話ももらっています。
会社や御用組合であるJP労組への不満があることは、大勢の労働者の声だと思います。
あきらめてはなりません。
投げやりになっても解決はしません。
私たちと一緒に団結し、職場から立ち上がっていきましょう。
千葉県本のグローバル分会は、有限会社グローバル(千葉県松戸市)との間で組合活動への支配介入などを巡って東京都労働委員会で争ってきました。
★グローバル分会の最近の活動はこちらから
東京都労働委員会での争点は以下の3点です。
⑴ 会社が、組合に対し、組合掲示板の貸与等の便宜供与を認めないことが、支配介入に当たるか否か。
⑵ 平成28年度冬期一時金、29年度夏期一時金及び29年度冬期一時金の支給に当たり、組合員に減額支給したことが、不利益取扱い及び支配介入に当たるか否か。
⑶ 29年6月及び7月の会社のマネージャーや事務員の発言が、支配介入に当たるか否か。
先日、11月6日、東京都労働委員会はグローバル資本による不当労働行為を認定し、会社に対する「命令書」が下されました。
命令書の「主文」は以下の通りです。
主 文
1 被申立人有限会社グローバルは、申立人日本労働評議会の組合員X1に対し、平成28年度冬期一時金、29年度夏期一時金及び29年度冬期一時金について、マイナス査定をなかったものとし、かつ、29年度夏期一時金についての支給額のベースが1か月であったものとして取り扱い、既に支払った額との差額を支払わなければならない。
2 被申立人会社は、申立人組合の組合員X2に対し、28年度冬期一時金及び29年度冬期一時金について、マイナス査定がなかったものとし、かつ、29年度夏期一時金についての支給額のベースが1か月であったものとして取り扱い、既に支払った額との差額を支払わなければならない。
3 被申立人会社は、申立人組合を誹謗中傷し、同組合の組合員に対し、同組合からの脱退を勧奨する等の言動をして、組合の運営に支配介入してはならない。
4 被申立人会社は、申立人組合に対し、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を交付すると共に、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、楷書で明瞭に墨書して、会社内の従業員の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。
記
年 月 日
日本労働評議会
中央執行委員長 長谷川 清輝 殿
有限会社グローバル
代表取締役 友野 晃夫
当社が、①貴組合の組合員X1氏及び同X2氏に対して、平成28年度冬期一時金、29年度夏期一時金及び29年度冬期一時金について、減額支給をしたこと。②貴組合を誹謗中傷し、貴組合の組合員に対し、貴組合からの脱退を勧奨する等の言動をしたことは、いずれも東京都労働委員会において、不当労働行為であると認定されました。
今後このようなことを繰り返さないように留意します。
(注:年月日は文書を交付又は掲示した日を記載すること。)
5 被申立人会社は、第1項、第2項及び前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
6 その余の申立てを棄却する。
「主文」は以上です。
組合に対して敵対的対応を繰り返し、組合の切り崩しを狙って実行してきた会社の不当性、違法性に鉄槌が下されました。
すでに東京都労働委員会のホームページもこの命令書の概要が掲載されており、社会的にも明らかになっています。
不当労働行為として労評が申立てが事柄のすべてが不当労働行為として認定されたわけではありませんが、労働組合法第7条(不当労働行為)の第1号(不利益取扱い)、第3号(支配介入)違反が認定され、主文の通り会社に命令が出されました。
この命令のもとに、会社が反省し、組合への敵対的対応をやめ、民主的労使関係を築くように求めていきたいところです。
しかし、単純にそれが実現できるわけではありません。
今回の都労委命令を契機に、組合の強化を進め、更に会社を追い詰めていきたいと思います。