2024年10月11日、香流工業との団体交渉を行いました。今回の団体交渉では、労評香流工業分会の組合員に対するパワハラ・不当労働行為の追及と、冬の一時金についての交渉を行いました。
1.会社は、組合員に対するパワハラ・不当労働行為について、言い逃れに必死!
組合員2名に対する違法、不当な配置転換の撤回と元職復帰を求めて、数回の団体交渉を重ねています。
香流工業のパワハラ、不当労働行為について、詳しくはこちら
【香流工業分会】組合員へのパワハラ、不当労働行為を止める闘い! | 日本労働評議会
2名の組合員に対する不当な配置転換の強行は、今に始まった問題ではありません。1名は今年8月はじめから、もう1名は9月はじめから続いており、現在に至るまで、会社は違法性、不当性を認めず、この間の賃金は全く支払われていません。労働者の生活を守る観点からしても、誠実に協議を重ねて、一刻も早く復職させるべき問題であるにも関わらず、組合から配置転換の理由について説明を求めても、会社は合理的な説明をすることなく、実質的に交渉を引き延ばし続けています。
例えば、女性組合員は、本社工場から別の工場への異動を営業課長から突然通告されたとき、「組合に相談したい」と課長に訴えました。営業課長はそれを無視し、異動の同意書にサインをするよう繰り返し、女性組合員もやむを得ずサインを書いてしまいました。組合からはすぐに、真意に基づく同意ではないことを会社に申し入れ、団体交渉の場でも組合員本人から、別工場への異動には同意していないことを会社に伝えています。しかし、その団体交渉の数日後に、会社は配置転換を強行して、組合員のタイムレコーダーの登録を本社工場から抹消して、本社工場のロッカーに置いてある本人の荷物も回収してしまったのです。
今回の団体交渉で、会社に改めて、なぜ、配置転換をしたのかを問うと、社長、専務は「同意書にサインしたから」と答えてきました。さらに組合から、団体交渉の場でも、また団体交渉の場以外でも組合員本人から専務に、「同意していない」旨を伝えているが、そのことを認識したうえで配置転換を強行したのかと問いました。すると、会社は「女性組合員が配転に同意していないことを主張していることは認識している」と言いながらも、配転の理由として「本人に同意してもらったから」と、なんとも支離滅裂な回答をするのです。これでは、自分たちのやっていることに道理がないことを認めているようなものです。なぜ、本人が同意していないことを知っていながら、配置転換を強行したのか?団体交渉の中で、このことについての回答は一切ありませんでした。
2名の組合員に対する配置転換の問題については、愛知県労働委員会に救済命令の申し立て(不当労働行為であることの訴え)を行っています。
会社はなぜ、明らかな違法、不当労働行為をするのでしょうか?会社にとって、組合員2名は「見せしめ」ということでしょう。会社にさからったら、組合に入ったら、こんなひどいめにあうんだぞと、自分たちに力があることを見せつけ、労働者が組合に入ることをこわがるように仕向けています。そのために違法行為までしてしまうのですから、労働者が組合に入り、団結することがこわくて、こわくて仕方がないのでしょう。
2.会社は、「組合が情報漏洩した」など事実無根の主張をして、黒塗りの経営資料を提出してきました。
2024年4月から、組合は会社に、今年の賃上げや一時金について交渉していくために会社の経営資料を出すよう求めていました。去年の賃上げ交渉では、黒塗りにすることなく、経営資料のすべての数字を明らかにしていたにも関わらず、今年度、会社から提出された経営資料は、なんと、ほとんどの項目が黒塗りのものでした。さらに、2022年の交渉の際に会社が出してきた経営資料と比較すると、「役員報酬」など一部の項目が消えていたのです。
以前の団体交渉で、組合から「これではまともな交渉ができない。なぜ黒塗りなのか。」と問うと、会社は「組合が以前、組合ニュース(香流工業の労働者に配布しているビラ)に会社の経営資料を載せ、機密情報を外に流したから」と答えてきました。これは、まったく事実無根のデタラメな主張です。この件についても、すでに2カ月以上前の団体交渉でも扱っており、会社の主張の証拠となる「組合ニュース」を提出することを確認していましたが、未だに提出してきていません。これは、提出していないのではなく、できないのでしょう。それもそのはず、労評香流分会が、組合ニュースに会社の経営情報を載せたことなど一度もありません。このままでは、自分たちに都合の悪い数字を隠すために、黒塗りの資料を出した、と疑われても仕方ありません。自分たちの主張を裏付ける証拠さえ、まともに出せないのなら、不誠実な態度を改めて、経営資料を全面的に開示すべきです。
※黒塗り資料のイメージ図
今回の団体交渉では、どの件においても会社からまともな見解、回答が出てこなかったため、改めて文書で客観的な証拠とともに回答を提出するよう確認しました。
賃上げ交渉は、生活に関わることであり、現場で働く労働者にとって一番の関心事です。労働者が組合と会社の交渉に関心を持つことを嫌がって、経営資料を出さずにいるのでしょう。去年の冬の一時金交渉では、組合員、非組合員関わらず冬の一時金についていくらほしいかなどアンケートを集めて、労働者の総意、合意として一時金要求を会社につきつけました。結果、年末ぎりぎりになって会社はパート労働者に一時金を支給しました。金額としては少額であり、とても一時金と呼べるものではありませんでしたが、パート労働者に一時金が出されたのは、社長、専務の代になってはじめてのことでした。
会社は去年の冬の一時金交渉のように、労働者の総意でもって要求されることを恐れ、自分たちの身を守るために嘘に嘘を重ねつづけ、もう逃げられない状態まで追い込まれています。
会社の態度はひどい、おかしいものですが、ここまで会社が嘘をつき、違法行為をするのは、組合を、何より組合に多くの労働者が入り団結することを、恐れているからです。なぜ、恐れているのでしょうか?それは組合の要求には道理があり、一方で会社の主張には何の道理もないことを会社自身が自覚しており、また組合は少数ですが、組合の要求を現場労働者の多くが支持しているからにほかなりません。
組合が優勢であり、社長、専務は「砂の巨人」です。自分たちの権力をふりかざして強くみえるように振舞っていますが、誰よりも組合や労働者の起ちあがりを恐れています。
労評香流工業分会は、資本を追い詰め、違法行為、不当労働行為を二度とやらせない闘いを打ち抜いていきます。今の日本社会で、香流のように低賃金、重労働を労働者に強いる会社、そこで苦しむ労働者は多いはずです。中小企業に働く労働者の、労働して生活する権利と、会社の道具ではなく人間として生きる人権を守り抜く闘いへの支援、連帯を呼びかけます。
会社を支える労働者が泣き寝入りしない労働運動をつくり上げていこう!!
労評は企業や職種、業種の違いに関わらず、労働者であれば一人でも加盟できる、中小企業を中心として労働組合(合同労組)です。労働相談は労評へ。相談無料、秘密厳守。
香流工業(株)は、亜鉛、アルミを原料とした金属部品を製造する中小企業で、愛知県長久手市に本社工場があり、その他に工場が二つ、営業所が一つあり、全体で従業員は200名ほどです。鋳造から成型までの一貫した生産ラインを持っていることを強みとして、同業種のなかでも高い利益を上げている会社として、評価されています。しかし、実際は、現場労働者の賃金は愛知県の最低賃金と同じ水準で、一方で専務や社長に気に入られた人だけが昇給するという、賃上げやボーナスも査定100%で、えこひいきが甚だしく、専務と社長は、現場労働者を都合よく働かせて、まるで自分たちの利益を上げるための道具のように扱っています。こうして労働者を金儲けの道具のように徹底して搾取することによって、利益を上げているのが実態です。このような香流工業の経営者、資本家は野坂一族です。
これに対して、会社の労働者に対する考えや扱い方を変えたいという切実な思いから、現場で働く労働者同士で話し合い、労評(正式名称は日本労働評議会、本部は東京にある全国組織の合同労組)に相談をして力を借りて、2022年10月に労働組合を結成しました。
組合結成を通知した直後から、社長や専務は、組合を敵視した行動を取ってきました。結成直後に、「組合活動について、社内からも、近隣からも苦情が出ている」などと、根拠のない言いがかりをつけてきたり、賃金問題についての追及に対しては、数字をごまかした資料を出してきたり、団交の席上で組合員個人に対して、例えば、何の根拠も示さず、セクハラをしているというような誹謗、中傷が繰り返されてきました。しかし、このような会社の不誠実な対応に対して、「会社あっての労働者、労働者あっての会社」をスローガンに掲げ、健全な労使関係こそ企業利益を高めていく核心と考え、一歩も引かずに社長や専務を批判し、追及しています。会社側は、組合からの追及には何一つ、まともな反論はできず、その場しのぎに必死になり、嘘をついて、組合員を誹謗、中傷したり、また団体交渉を先送りして、逃げ回っています。
そのなか、去年4月から賃上げについて、会社と交渉を行ってきました。組合は、会社の経営資料を分析し、世間の同業種同規模の昇給額とも比較しながら、理にかなった賃上げ要求をしてきました。しかし、会社は、組合の要求にまともに答えず、又答えられず、「設備投資に回したい」と言い、一枚の資料を提出してきましたが、生産計画としては具体性のない、会社のやりたいことの羅列でしかなく、なんら説得性のないものでした。
会社は非常に主観的で、かつ組合敵視の態度であり、この状況を打開し交渉を前進させること自体、極めて困難な状況にありました。このような状況にあって、局面打開に向けて事務折衝を呼びかけた時に、会社側弁護士が極めて重大な発言をしました。それは、「組合員以外の方は賃上げを納得している」と言ったのです。ところが、現場は、納得するどころか、組合の主張に支持、共感する労働者が多数であり、会社のいいかげんな態度に対する不満が強くなっていました。そこで、この会社側弁護士の発言を、「組合ニュース」に載せ、現場労働者に伝えたところ、「そんなことはない」、「専務や社長に直接言えるわけがないでしょう」、「みんな我慢しているんだ」と、次々と不平不満が噴出してきました。
私たちは、賃上げ要求を、組合員だけではなく、現場労働者みんなの要求、総意として会社に突きつけることが、大きな力になることに確信を持ち、それまでの「組合対会社」の関係から「労働者対会社」の関係に作り変え、労働者の総意を実現する交渉へ切り替え、取り組んできました。
紆余曲折(うよきょくせつ)がありながらも、今年3月の団体交渉では、会社から「和解」を切り出してきました。私たちは、労働委員会に対して、会社の組合に対する違法行為、すなわち不当労働行為の数々を訴え、しかも優勢に「調査」という審議を進めていました。会社は、その訴えを取り下げてほしい、と言ってきたのです。私たちも、会社が私たちの要求に真面目に答えることを期待して、和解交渉を進めることに合意しました。
ところが、会社は、「個人面談」で、突然、70歳以上は来年3月31日をもって雇止めにすると通告し、「国の方針だから」などと言ってまともな説明もせず、権力を笠に着て高齢の労働者に同意させる等、非組合員、とりわけ組合を支持するパート労働者を狙って、攻撃してきました。また、組合員に対してもパワハラ、不当労働行為をやる等、「和解」に向け誠実に交渉するどころか、不当、違法な行為を重ねてきました。それでも私たちは、最初は粘り強く、話し合いによる解決をめざしてきました。ところが、会社は、ますます図に乗り、付け上がり、組合員に対するパワハラ、不当労働行為の攻撃をかけてくるようになり、和解を振りかざして敵対する、会社の悪辣な行為によって我慢の限界を越えました。労働委員会では和解を取り止め、会社に対する「調査」、追及を再開しました。
会社はいよいよ追い詰められ、最近では、女性組合員へ配置転換を強行したり、高齢(80才)のパート労働者の組合員を、病み上がりにもかかわらず、40度近くになることもある高温の作業場で、いきなり働かせたり、とんでもないことをやっていきています。
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【香流工業分会】組合員へのパワハラ、不当労働行為を止める闘い
国内においては留まることをしならない物価高のなかにあって、全労働者数の大半を占める中小企業労働者の賃金は、物価高に追いつかず、実質賃金は低下し、貧困化しています。そもそも中小企業は大企業の下で、様々な面で抑えられ収奪されており、その付けが労働者に回ってくる構造があります。つまり、中小企業労働者が最も抑圧されているのが実際なのです。しかし、考えてみてください。机、いす、ボールペン、ノート、車、など、それぞれの部品一つ一つは全て中小企業が作っています。中小企業のとりわけ製造業の労働者の生産活動があってこそ、社会で必要な物が生み出され、社会が成り立っているのです。典型的な構造を挙げれば、トヨタ自動車は国際的にも日本を代表する大企業ですが、本社工場では厳密な意味で車を作っていません。たくさんの下請け、中小企業が製造し、納品させた部品を、組み合立てているだけです。大企業は下請け中小企業に支えられているのです。
現在の不況は、社会構造的なところに原因があり、これからさらに経済が低迷することは間違いありません。現場労働者、中小企業労働者が団結して生活と権利を守れるよう、香流工業がその先駆けとして、「会社あっての労働者、労働者あっての会社」を目指して奮闘しています。