本社工場前でのビラまきの様子
香流工業について
香流工業株式会社は、愛知県長久手市に本社を置く金属部品製造業(亜鉛・アルミダイカスト産業)の会社です。金型製作、鋳造、加工、仕上げまでの工程を一貫生産で行っていることを強みとして成長を続け、現在は愛知県内に3工場、福井県に1つの営業所(金型製作)を所有しています。
主要な品目は自転車部品、自動車部品、釣り具部品、機械部品などです。特に、コロナ禍での海外の自転車ブーム、アウトドアブームにより自転車部品や釣り具のリール部品の受注が急増し、売上を伸ばし続けています。
従業員数は全工場を合わせて200名程度、正社員、パート・アルバイト、派遣社員、技能実習生と様々な雇用形態の労働者が働いていますが、その半数以上を外国人労働者と高齢のパート・アルバイトが占めています。
仕事は忙しくなっているのに、給料が下がった!?
香流工業は、全国の同業他社と比較しても、トップクラスの技術力と業績を誇りますが、賃金は愛知県の平均(金属製造業)よりも低く、昇給は役職につかない限り、ほとんどありません。人手不足も深刻で、平日の残業は当たり前で、土曜出勤が常態化しています。
コロナ禍でも受注が増え、それにともなって一人当たりの負担も多くなっていきましたが、給料は増えるどころか、減ってしまいました。2021年の4月、会社は賃金システムの改定を一方的に行い、皆勤手当や職務手当、家族手当がなくなり、基準が不明瞭な「等級制度」や評価手当が導入されました。結果として大多数の労働者が大幅な賃下げとなってしまいました。労働者にはなんの事前告知もなく、作業時間中に一人一人を呼び出して、「賃金システムの変更」が伝えられましたが、賃金が具体的にどのように変化するのかついては全く説明されず、翌月の給与明細を見てはじめて金額を知るような状態でした。
労働強化が進んでいる中で、大幅な賃下げが行われたことで、職場内の不平不満が一気に激化し、数名の労働者が労評愛知県本部に労働相談に訪れたことが、労働組合結成のきっかけとなりました。以降、労評愛知県本部の指導、援助のもと、労働者同士の話し合いを重ねてきました。生産を支え会社を支えている労働者が重んじられ、働く者の利益が守られるように会社を変えていくための、労働組合の政策と要求を示し、労働組合への組織化進めていくことによって、労評分会の結成に至りました
※労評香流工業分会の「結成宣言」はこちら
労働組合の登場によって、労働者の期待は高まっています!!
10月17日、会社への通知に先立って、本社工場、瀬戸工場、井戸金工場の3か所で労働組合結成を知らせるためのビラまきを行いました。いずれの工場でも、多くの労働者から、組合結成の趣旨や要求に対して支持、賛同の声が寄せられました。これまでの、「会社のやり方に疑問や意見はあるが、言えない。」「言ってもどうせ変わらない」という半ばあきらめていた状態から、変化のきざしが見え始め、会社が変わっていくことに期待が高まっています。
当面は、早期の団体交渉の開催と要求の実現を目指し、会社と交渉を進めていきます。労評香流工業分会の労働者は、「会社あっての労働者、労働者あっての会社」のスローガンのもと、香流工業を、もっと安心して、気持ちよく働ける職場へ、会社の考えが誰でもよくわかる会社へ、そのうえで納得のいく話し合いができる会社へ変えていくため、活動を開始しました。労評香流工業分会の闘いは、全国の中小企業製造業における労働運動の先駆けとなる闘いであり、労評内総労働をもって、力強く推し進めていきます。
労評香流工業分会 結成宣言
我々は、本日、ここに起ち上がった。
この3年間、コロナ禍による世界的な不況のなかでも、香流は受注量を増やし、毎月、過去最高売上を更新してきた。会社は機械を増やして、現場で働く労働者がやらなければならない仕事の密度と作業量を増やし、残業や休日出勤も増やしてきた。それに対して我々労働者は、コロナ感染とも闘いながら、頑張って働いてきた。
しかし、会社は、去年の4月に賃金システムを一方的に変更し、皆勤手当、職務手当、家族手当をなくし、基準の分からない「等級制度」のもと、「評価手当」と「コミッション手当」を導入した。結果として、多くの労働者の賃金が、大幅に減ってしまった。また、売上は上がり続けても、年2回の一時金は、コロナ禍を理由に下がったときから、元に戻ることはなかった。
こうした不利益な変更について、会社はなんら具体的な説明をせず、給与明細を見て、初めて賃金が減らされたことに気づく状態だった。仕事がどんどん忙しくなっているのに、月々の賃金は減らされてきた。それを残業代が若干増えることによって、いつもと変わらないか、少し増えたと、ごまかされてきた。
それだけではない。正社員でも、同業種の平均賃金(世間相場)と比べれば、日給制(日払い)ということもあって、賃金が5万から10万くらい安い。ゴールデンウィークやお盆など、休みの多い月は賃金が大幅に減ってしまい、生活は不安定にならざるを得ない。しかも、福利厚生面で言えば、会社は、舗装もしていない駐車場で、月々1000円の駐車料金を取っている。安全衛生面で言えば、4階建ての本社工場には非常階段がない。高齢者も多く働く工場は雑居ビル同然で、火事が起きたら逃げ場がない。
会社は、毎月の朝礼で、不良や納期遅れの件数は発表するが、問題がある、問題があると言うだけで、問題の原因、根拠も明らかにせず、だから解決のための対策など、何一つ提案することができない。それでいて、「不良を減らせ」「能率を上げろ」とすべて現場に責任を押しつけてくる。一体、誰が工場全体、会社全体を管理しているのか。経営管理の責任はどこにあるのか。
仕事が忙しくなっても、人は増えず、人を育てず、一人あたりの負担が増えるばかりか、会社は一方的にシフトや配置を変更してくる。他にも、残業代未払いや一部管理職のパワハラ、外国人労働者への差別など、問題を挙げれば切りがない。
会社の労働者への搾取、抑圧、差別はあまりにもひどい。低賃金、労務管理、命令実権主義、上意下達の体質など、好き勝手したい放題である。会社は自分達の管理、支配に有頂天になり、醜態をさらしているとしか言いようがない。我々労働者がどれほど会社の健全な発展を願い、辛いことも我慢して、憤りや怒りを抑え、不平不満を持ちつつ働いていることなど、会社はまったくわかっていない。このままでは労働者への貧困、圧迫、隷属、搾取が強まるばかりである。
こんな会社のやりたい放題を、もう黙って見過ごすわけにはいかない。香流に絶対に労働組合を打ち立てなければならず、労働者の労働と生活を守り、労働者の独自的な階級利益を会社に叩きつけ、まるで労働者を金儲けの道具のように扱う会社のやり方、考え方を変えさせなければならない。「会社あっての労働者、労働者あっての会社」をスローガンに掲げ、香流を変えていこう。
幸いにも、日本労働評議会愛知県本部が、われわれの切実な訴えに耳を傾けてくれ、今まで誠心誠意、指導、援助してくれた。日本労働評議会(略称、労評)は、中小企業労働者こそ日本の社会経済を支える主力であるとする中小企業路線のもと、労働者の独自的階級利益を、広範な働く者の団結、連帯をもって守り抜くことができる、日本労働運動の再建、再興をめざしている労働組合である。我々は労評の指導、援助のもと、それに応えて、香流労働者の広くて深い血の通った団結をつくり上げていく。
本日、ここに、労評香流工業分会の結成を宣言する。働く者の誇りを胸に秘め、団結の力で、香流の新しい歴史を切り拓こう!!
2022年10月16日
労評香流工業分会
一同