東海地方では、労評の中央方針に基づき、3単産建設、とりわけ交通運輸単産建設方針を主要にして、労評運動の基礎づくりを東海地方本部―各県本部の組織軸のもとで取り組んでいます。
トールエクスプレスジャパン広島分会の仲間が長時間労働、低賃金の元凶となっている、残業代が実質的に支払われない賃金制度の廃止に向けて起ち上がりました。その勇気ある行動に励まされ、それがきっかけとなって、東海地方でも元トール浜松支店の労働者と元遠州共栄運輸の労働者が、それぞれ残業代請求裁判を提訴しました。「おれのとこも同じだ、いくら働いても給料がほとんど変わらない。」と、日ごろ感じていた疑問、不満が個人的な思い込みではなく、残業代が払われない賃金規定そのものに客観的根拠があることがわかり、会社にいいように使われてきたことへの不満、怒りをたぎらせ裁判で闘う決意を固めました。交通運輸業界で働く労働者は、どこで働こうと、低賃金、長時間労働という劣悪な労働条件のもとで働くことを半ば強要されています。それゆえ、トール浜松の労働者も遠州共栄運輸の労働者も、会社は違えども抱える不平・不満、要求は同じです。
また、より多くの労働者の団結をつくり上げていく一環として、東海地方にあるトール各支店への情宣活動を進めています。2月11日、トール東京中央分会の結成が正式に確認され、先陣を切って結成したトール広島分会と合わせて、労評交通運輸労働組合(略称、労評交運労)の主軸として、トールの全社的な組織である労評交運労トール労働組合が結成されました。この労評交運労トール労組の組織拡大方針に基づき、東海地方においてもトール各支店に労評分会を結成することをめざして、種をまく闘いを進めているのです。そうした中で、2月28日、国際自動車の最高裁判決が出ました。結果は、高等裁判所で再戦することになりました。最高裁は結論を出すことを避けてしまいましたが、高裁判決のグレーゾーンに対して、労働基準法に正面から向き合って残業代が支払われているのかいないのか、はっきりさせよ、と命じているので、裁判闘争の勝利をより一層確信して闘える状況がつくられました。国際自動車の最高裁判決は、タクシー業界のみならずトラック運送業界等も含めた交通運輸業界に働く多くの労働者の期待と注目を引き出すものです。それゆえ、より一層宣伝活動に力を入れる必要があります。
東海地方のトール各支店には、国際自動車裁判の最高裁判決の報告、労評トール東京中央分会の結成と労評交運労トール労組の結成の報告、さらに賃上げ要求等をめぐる団交の報告と、連続的に情宣を行ってきました。労評「組合ニュース」の配布に対して、労働者の関心は情宣を重ねるごとに強くなっています。とりわけ賃上げの件を取り組んでいることを伝えると、「組合ニュース」の受け取り方に変化が生まれ、今まで周りの目を気にして受け取らなかった人も受け取るようになり、たとえ受け取らなくても、賃上げ要求と団交の状況について話しかけると、関心を示してくるようになりました。たとえば、ある支店の集配労働者は、「どうなっているのか気になっていたよ」とビラを待ち望んでいた様子で受け取り、トールの既存の御用組合に対して、「動かない、金ばかり取って。賃上げ要求をしてしっかり取り組まないとだめだ。」と不満を述べ、労評の交渉のゆくえに期待を寄せていました。労評交運労トール労組が現場の切実な要求を取り上げて闘っていることを、連続して知らせていくことで、労評への関心は強まり、一方、御用組合に対する不満が高まることは明らかです。こうした労働者の気持ちの変化をつくり出していくことは、裁判の判決を焦点化した天王山の闘いに向けた基礎づくりとして重要です。
東海地方においてもまだ十分に取り組めていないところがありますが、今後、労評交運労の正式結成に向けて東海の組織力を強化していく方針です。
現在、残業代請求裁判に起ち上がっている組合員の方々に働きかけ、浜松周辺地域に働く労働者の団結を強化して、労評交運労の地域分会を立ち上げていきたいと考えています。東海の残業代請求裁判の原告である労評員の方々は、すでに今まで働いていたトラック運送会社を辞めて再就職しています。そして、自分の残業代(未払い賃金)を取り戻したいという思いで裁判に参加しています。そもそもトラック運送業界で働く労働者の賃金が安く、上がらないのは、労働者が一生懸命に働かずさぼっているからではありません。主たる原因は、どんなに残業をしてもまともに残業代が支払われない賃金制度にあります。しかも、この賃金制度は、トラック運送やタクシー等の業界各社の経営者たちが、不況の中で自分たちの利益を増やすために、一致協力してやっていることです。それゆえ、個々の会社に対しても業界からの影響があり、改善の闘いを阻む圧力が加わったり、たとえ改善の成果があったとしても、それを元に戻そうとする業界の圧力が加わり、なかなか安定しません。それゆえ、一つ一つの会社での改善の闘いやその成果を、同じ業界で働き労働者全体へ波及させ、より多くの労働者の団結をつくり上げていくことによって、より大きな改善の成果を勝ち取ることができるとともに、一つ一つの会社での改善の闘いも、加速させることができるのです。そのための組織が労評交運労です。
交通運輸業界のどこの会社で働こうと、程度の差はあれ、残業代をまともに払わない賃金政策のもとで労働者を搾取し、管理するやり方は同じです。それゆえ、賃金を正当に支払わせる要求闘争を、労評交運労のもとに結集させ、団結させて、その組織力をもって個々の会社での労働者の団結をつくり上げていくこと、すなわち労働組合をつくる闘いを前進させていく必要があります。残業代請求裁判についても、より多くの労働者を裁判闘争に参加させていくとともに、それ以上に、労評交運労のもとで、現場での不当な賃金制度を撤廃させる闘いを全国的につくり上げ、裁判所を包囲していくことが勝利への道筋です。
全地本委員会のもとで組織連携を密にして、戦略的にも戦術的にも一致して、交通運輸労働組合=単産の結成とそのもとでの分会拡大、勢力拡大に向けて、集中して連続的に闘っていきたいと思います。東海地方本部としては、トール各支店への情宣活動を強化するとともに幅広く交通運輸労働者に働きかけ、さらに3単産建設方針のもとでより多くの労働者に働きかけていきます。ともに頑張りましょう!